恋をする、その先に…


ヒメは
せっかく注いでくれた
グラス1杯だけを飲む事にした。



2人と楽しく食事しているのに
頭から離れないストーカー男の存在。


自分がアパートに帰らない事で
男は次に何を考え
どんな行動に移すのか
諦めてくれるのか
そして今
どこからかまた自分を見ているのか
見えない恐怖は続いている。



「少し席を外すな。
 電話してくる」



そう言ってナツメは
携帯を取り出し部屋を出て行った。



「ヒメちゃん
 明日は帰るの?」



酒を飲みつつ
シキに投げ掛けられた質問。



「帰ってみるつもり。
 荷物もあまり持ってこなかったし
 あんまり空けていても
 部屋が心配だしね」


「そっか。
 それなら俺もついて行くよ。
 こう見えて結構強いんだよ?
 ボディガードは任せなさーい!」



軽い雰囲気で答えるシキに
あまり強さは感じないが
1人で行くより心強いし
誰かが一緒なら
相手も何もしてこないと考えた。



夜も更け
時計が深夜を指した頃…



「俺達は部屋に戻るけど
 何かあったらすぐ呼べな?



と、ナツメの言葉に
『一緒に寝るとかカンベンなんだけど』と
隣で呟くシキ。