「全然いいワケねぇだろ。
 着実に問題は大きくなってんだから。
 現に男の行動がエスカレートしてきて
神崎はストレスと寝不足でぶっ倒れてんだ」



ナツメはまったく表情を変えず
ヒメとも目を合わせる事なく
コーヒーを飲みながら
痛いところを突いてくる。



遠回しに
無言の圧力。



「それで具合悪くなったんだ…。
 まぁそれは確かに
 ナツメの言う事にも一理ある」



なぜか珍しく
シキがナツメの意見に賛同。

ヒメが反論出来る隙がない。



「このご時世、物騒だからね。
 万が一って事もあるし
 1人で抱えないように。
 俺らもいるんだし
 何か手伝えるかもしれないから
 少しは頼りなね」


「ありがとう…」



シキの言葉に
ヒメは少し安堵した。



自分が思っている以上に
ナツメとシキは
親身になって話を聞いてくれ
2人に話した事で
心なしか安心感というか
ホッとしていたのだ。



「さッ!飲もッ!
 ヒメちゃんもイヤな事を忘れるために
 飲むのが1番」



ほぼシキのペースに乗せられ
酒をグラスに注がれる。



「酒はやめろ。
 貧血起こした病人が飲むな。
 余計悪くなるから」



淡々と注意するナツメと
残念そうな表情のシキ。