「とりあえず一晩泊まって
今度の事は明日決めればいい。
もし引っ越すのであれば
マンションの空いてる部屋に来ればいいし。
必要であればその手配はしておく」
「引っ越しって…
このマンションに!?」
まったく聞いていなかった案に
ヒメはただただ愕然とした。
「こんな高そうなところ…
お金が足りない、絶対」
とてもとても一般庶民が住めるような
マンションではない。
そんなところに引っ越すなんて
絶対無理としか思えなかった。
「金は俺が補助する。
あんまり気にするな」
さすが社長。
金持ちは心意気が違う。
「そうそう。
ナツメは社長だからね。
どーんと構えて
好きにして大丈夫だよ」
「お前が言うな」
シキがナツメに
ツッコミを入れたところで
シキからある提案が発表された。
「ねぇ!
ヒメちゃんの気分転換に
夕飯はココで酒でも飲もッ!」
『我ながら名案』とばかりに
張り切り出すシキ。
「遊びに来てんじゃねぇぞ」
それを止めるナツメ。
「いいじゃん、いいじゃん!
俺は料理出来ないから
何か適当に買ってくるし!
ヒメちゃんも酒飲めるっしょ?」
「だからなぁ
少しは考えろよな」
パーティをしたがるシキと
それを阻止するナツメの
攻防戦がしばらく続いた。


