―――医務室。



「具合はどう?」


「…はい。
 おかげさまで」



常駐の看護師に診てもらい
ヒメの具合は落ち着き
意識もハッキリしてきた。



「貧血ね。
 それも結構無理してたみたいだけど。
 寝てなかったの?」


「思い当たる節は多々…」



病状を聞いても驚かなった。


ストーカー男の一件で
心身共に疲労していたのに
更に追い打ちを掛けるように
昨日の寝不足も重なったからだと
理解はしていたからだ。



「昨日、顔色悪いとは思っていたけど
倒れるまで無理しすぎだ」


「反省しています…」


「シキにも話さないといけないし
ひとまず神崎が動けるようになったら
 場所を移動するか」



さすがに会社の医務室で
ストーカーの話題を持ち出すのはマズイと思い
ナツメの気配りだ。



「アタシなら平気。
 少し楽になったから」



そう言って
ヒメは無理やり体を起こし
動く準備を始めてしまった。



「車を呼ぶから待ってな」



ナツメは携帯電話を取り出すと
社長専用車の運転手に電話。


会社の前に横付けするよう話していた。



しばらくし
車がが到着すると
ナツメは珍しく助手席で
運転手の後部座席に
ヒメが乗り込んだ。