いつの間にどこからか
昼夜関係なく様々な場所で
撮られていた写真ばかり。


明らかに盗撮だとわかった。


まったく記憶にもなく
1度も気付きもしなかった。


それほど静かに男は
レンズ越しにヒメを見ていたのだ。


それだけでも恐怖なのに
例の手紙もまた
同封されていた。




“新藤社長様
 はじめまして、新藤社長。
 突然の手紙だが、アナタに忠告しておきたい。
 ボクの親愛なる神崎ヒメと仲良くしているみたいだけど
 彼女に近付かないでもらいたい。
 彼女はボクのモノだ。
 たとえ社長といえど
 アパートにまで行くなんて許さない。
 アナタのせいで彼女はボクを拒絶したんだ。
 そう仕組んだのはわかっている。
 今後まだ彼女に触れようとするなら
ボクはアナタに何をするかわからない。
それほどボクは神崎ヒメを愛している“



内容は
完全に犯行声明。


強い愛憎と脅しは
社長にまで魔の手が伸びていた。



「こんな事って…。
 まさかココまでするとは…」



あまりの恐怖に
身震いが起き
同時に激しい頭痛に襲われ
持っていた手紙を床に落としてしまった。



痛む頭を庇いつつ
落とした手紙を拾い集めた。