「シキに話してもいいか?
 アイツあんなんでも
 役に立つと思う」


「それは平気。
 ありがとう…」


「あとは今後の事も
 少し考えさせて。
 必要ならSPも付ける」



大事になっていってる事に
ヒメも事態の重大さが
身に染みて感じる。



「…神崎」



ふいにナツメに呼ばれ
彼に顔を向けた。



「お前は
あんまり考えすぎるな。
気付いてないみたいだけど
顔色、悪くなってきている」



そう言いながら
ナツメにポンと肩を叩かれる。



「うっそ…
 そう見える?」



社長秘書が
”顔色悪い”なんて事が
あってはいけないと思い
『化粧で誤魔化せるかな』と
小さく独り言を呟いたが…



「今日は仕事が終わったら休め。
 …とは言え、家に帰るワケにはいかないか」


「大丈夫。
 荷物もないし今日は帰るよ。
 明日からはしばらく
 ビジネスホテルに泊まるつもりだけどね」


「…わかった」



納得しような返答をしたナツメだが
何か引っ掛かっているのか
まだ考え事をしていた。



「帰りは送る。
 何かあったら必ず連絡しな。
 すぐ出られるようにしておくから」


「ありがとう」



ヒメの不安とナツメの心配
それぞれの恐怖はあったが
その夜、ヒメは自身の部屋へと帰宅。