「…なるほどな。
 だから最近お前の様子が
 おかしかったのか」


「え、気付いていたの?」


「そりゃあな。
 まぁストーカーだとは
 思ってもみなかったけど」



いつの間にか
ナツメが自分の様子を気にかけていたとは
ヒメ自身は思いも寄らなかったが
飲みに誘ってくれたりした事が
なんとなくそういう意味だったんだと
理解した。



「犯人の目星は?」


「たぶん最近引っ越してきた
 アタシのアパートの隣人。
 さっきココにまで来ていたのを見たから」


「隣人って厄介だな。
 ココまでつけられていたのか」



ナツメは何かを考えているのか
窓に肘をつき
外の景色を眺めている。



「ごめん。
 迷惑掛けるつもりはなかったんだけど…
 まさかこんなのに巻き込まれるとは
 アタシも思わなくて…」



ヒメは申し訳なさそうに
同時に『言わなければ良かったな』と
後悔もしていた。


しかし…



「謝るな。
 そんな大事な事
言ってもらわないと逆に困る。
俺も気付いてやれなかったのは悪かったな」



ナツメは何も悪くないはずなのに
謝ってもらったりして
更に申し訳なさが募る。