「さっきナツメに電話したら
見事に怒られたよ。
んで、今から社長室に向かうところ。
また怒られるんだろうねぇ」
悪びれもせず
あいかわらずニコニコしているシキ。
仕事は出来るのに
こういうところは
しっかりしていないらしい。
―――社長室。
「遅い!!!」
案の定
ナツメと顔を合わせるなり
開口1番
いきなり怒鳴り声が響く。
「ごめんって。
次は気を付けるって」
「何回目だと思ってんだよ!
副社長なんだから
時間はしっかり守れよな」
「はいはーい」
ナツメに怒られながらも
反省しているだがしていないだか
わからないシキ。
しかしこれも
兄弟だからこその
仲なんだろう。
「神崎、30分後に出掛けるから。
同行な。準備しておけよ?」
「了解。またあとで来る」
『頼んだ』とナツメの言葉を聞き終え
秘書室へと向かうと
ちょうど部屋の内線電話が鳴っていた。
「はい、神崎です」
『おはようございます、神崎秘書。
…あの』
電話の先は
1階受付の女性職員。
朝早くから内線が入る事は珍しいが
受付職員は戸惑い気味に
何か言いづらそうな様子。


