しかしそんなヒメとは裏腹に
1日、1日
徐々に
手紙の相手の行動は
エスカレートするようになってきた。



「最悪ッ
 寝坊した」



3日に1通の手紙が
あっという間に
ほぼ毎日へと変わり
それに伴ってストレスなのか
なかなか寝付けず
結局、仮眠程度になってしまい
翌朝は寝坊までしてしまう始末。



急いで身支度をし
準備が終わり靴を履き
玄関を出ようとすると
ふと、扉から違和感を感じた。



なんというか…
扉の向こうから感じる
“人の気配”


来客かと思っても
物音1つせず
入ってくる様子もない。



のぞき穴から見る勇気も出ず
ゆっくり静かに靴を脱ぐと
リビングへと戻ってみた。




すると…



ブー、ブー、ブー…


鞄に入っていた携帯のバイブ音が響き
思わずドキッとしてしまった。



このタイミングで鳴る携帯電話。
ドアの向こうの人物ではないかと考えてしまい
震える手で画面を見つめる。




しかし
掛かってきていたのは
ナツメだった。


少しホッとし
まだ震える手で操作すると
恐る恐る声を出した。