ナツメの元で
秘書として働き始めて
少し経った頃―――



「久しぶりの休みだぁ」



3週間ぶりの日曜日。

青空が広がる晴天の中
ヒメはマンションで
洗濯物をベランダに干しながら
大きな伸びをする。


土日もずっと
秘書の勉強をするため
ずっと会社に出社しては
夜遅くまで
ナツメと共に仕事をしていたので
今日は就職後初の休日なのだ。



「仕事がハード過ぎて
 疲労困憊」



ソファに倒れこみ
自身のすべてのスイッチをオフにし
昼寝をしようと目を閉じた。



しかし
玄関先が妙に騒がしい。
数人の足音と
何かを置いたりする音が
耳障りに入る。



「頼むから
 せっかく久しぶりの休みなんだから
 ゆっくり休ませてほしいんだけど」



ブツブツ独り言を吐きながら
音の正体を探るべく
玄関を開けてみた。




―――すると


少し離れた隣の部屋で
数人の業者らしき2~3人の男性が
大きな段ボールを運んでいる。

どうやら引っ越し業者のようだ。



「隣に誰か引っ越してきたんだ。
 ってか
 誰も住んでいなかった事すら知らなかった…」