恋をする、その先に…


しかしそれでは
会話に悩みそうだ。
下手な事は聞けないし
折り合いが上手くいくのか
自信がなくなりそうだった。

これがシキが言う
“秘書泣かせの社長”なんだろう。



―――同日、午後



会議には社長を始め
各部署の部長やリーダー
もちろん副社長のシキも出席。



「ヒーメちゃん!
 さっきぶり」


「うわぁ、出た…」



会場準備をしていると
最初に現れたのは、シキ。
拒絶からか
無意識に返事が雑になる。



「シキって呼んでよヒメちゃん。
 あ、それ手伝うよ」


「…どうも」



持っていた資料を手渡し
2人で会議室のテーブルに一部ずつ配り
お茶も用意し準備完了。



「ありがとうございました…」


「いえいえ。
 まぁその代わりと言ってアレだけど
 今日こそご飯行こッ」



会議前だというのに
またこの誘いに呆れてしまう。


もしかして誘うために手伝ってくれたのかと思うと
溜め息しか出ない。



「行きません。
 まだ仕事もあるし
 アタシもそれなりに忙しいの」


「そうなの?
 それなら休みはいつ?
 ヒメちゃんの休みに合わせるよ」



シキの強引は変わらず
『社長に見習って仕事しろよ』と
内心思ってしまった事は言うまでもない。