「あぁ。
あんなよくわからん男だけど
紛れもなく血の繋がった
“弟”なのは確かだな」
強調しながら答えるところを見ると
やはり迷惑している部分はあるように
思えて仕方ない。
「確かに顔は似てる。
性格はかなり違うけど」
「だろうな。
アイツと一緒にいたけど
いつの間に仲良くなったの?」
「仲良くはなってないな。
昨日、給湯室を教えてくれたのが
弟さんだったんです」
「それはまた残念な。
アイツには気をつけな。
生粋の女たらしだから」
「あー…
確かにそんな雰囲気しかないね、弟さん」
軽ノリの発言を思い出し
また顔が引きつった。
「ちなみにアイツ
あんなんでも一応
ウチの会社の副社長」
「え。」
まさかの意外なシキの役職に
ただ驚いてしまった。
「…意外。
人は見掛けによらないんだ」
「…だよなぁ」
言いながら
ナツメはノートパソコンから目を離し
呆れながら窓の外に視線を移した。
それは何か考え事をしているようにも思えてしまう。


