「うわ。酔っ払いか…
 めんどくさいから絡まれたくないな」



嫌な予感をひしひしと感じながらも
背景の一部と考えるようにし
足早にその場を通り過ぎた。



…しかし
もちろんそんなのは通用せず。



「ちょっと待ちなって可愛いコ」


「俺らと飲もうよ」



捕まってしまった。



「最悪…
 マジで本当ツイてない」



小声で
このタイミングの悪さにガッカリしてしまう。

こういう予感が当たるいうのは
ある意味
運を持ち合わせているのかもしれない。



「一緒に来てる人がいるんで―――」



サラッと軽く流しながら
足は止める事なく歩き続けるが
とても逃がしてくれる様子はなく
男達はヒメの前に立ちふさがった。



「待っててもらって遊び行こ。
あ、でもツレが女のコなら呼びなって」


「心配しなくて俺らがお金出してあげるよ。
 カラオケでも行こうよ」



心配すべき問題は
そういう事ではない。



ノコノコついて行ってしまったら
無事に帰って来れない事くらい
考えなくても理解出来る。


一刻も早く逃げないと
拉致の可能性だって否定出来ない。