「ま、大丈夫だよ。
体力とメンタルさえ強ければ」
「は、はあ…」
なんて無茶苦茶だ。
ココに秘書が来ない理由が理解出来る。
「けど社長として
人一倍頑張ってるからなぁ。
誰よりも体を酷使してる。
俺にはマネ出来ないけど。
アレは確実に早死にするよ」
『うんうん』と
一人で納得しながら縁起でもない事をサラッと言ってしまう
この見知らぬ男に
心の中で『シャレにならん事を言うな』と笑顔が消える。
「で?
ところでアナタは誰です?」
ヒメとしては
そんな事よりも気になる
この男の正体。
本来、1番最初に聞くはずだったのに
この男のペースに持っていかれてしまい
今さらになってしまった。
「あ、そういえば言ってなかったっけ?
自己紹介が遅れましたぁ!
俺は、新藤シキ。
新藤ナツメ社長の弟でーす」
ウインクなんかをされながら
嬉しそうに自己紹介をしてきたが
質問したヒメ自身は
その返答に微動だに一切しなかった。
「…へぇ。
あー…なるほど」
むしろ納得。
『聞いて驚くなよ』の勢いで
発したシキの言葉とは裏腹に
ヒメは案外冷静。


