「どうしたって
何が?」
とぼけているのか
セナは首を傾げている。
「どうしていきなり
ナツメんとこに来たの」
「あら?
仕事で来たって言ったわよ?」
「ふーん…仕事ねぇ。
本当にそれだけなの?」
突っ込んだシキの質問に
さっきまでニコニコしていたセナだが
少し表情を曇らせ
真剣な顔つきに変わった。
「ナツメが心配なのよ…。
あのコが亡くなって2年が経ったのに
まだ引きずっているから…」
「“早く自分のモノになればいいのに”
そう聞こえるけど?」
挑発的に
探りを入れながら
シキは痛いところを詰めてくる。
「私はナツメの幸せを願っているの。
ただそれだけでいいのよ…」
俯き加減に寂しそうにコーヒーを飲むセナ。
シキはそんな彼女の姿を見ながら
また『ふーん…』と冷たい視線を送っていた。
彼の中で
セナの言葉が“嘘”だと感じていたから――
「あ、そういえば
さっきの神崎秘書さんの事だけどねッ」
明らかに話題を変えたのか
突然、思いついたようにヒメの名前を持ち出した。


