恋をする、その先に…


「それ、俺がお前に言った言葉」


「あ、バレた?
 でも本当だよ。
 まぁ無力だけど」



窓のブラインドを閉めながら
『言ってみたものの』と
付け加え。



「…なぁ神崎」


「んー?」



ふと呼ばれ振り返ると
ナツメは椅子事ヒメの方に向け――



「お前なら…」



曖昧に何か言いたげに
見つめていた。



「どう…したの?」



目を離さず
まっすぐに見つめられ
思わずドキッとしてしまう。


すると。
ナツメはスッと立ち上がり
ヒメに近付いてきた。


壁を背にしたヒメの正面に立ち
彼女の背後の壁に手をつき…



「お前なら
 忘れさせてくれるかもな…」



ナツメの顔が
わずか数センチの距離。

心臓が
高鳴った―――



「しゃ…ちょう…」



しばらく見つめられ
まるで金縛りにでもあったかのように
身体が動かない。


こんなナツメも
こんな気持ちも
初めてだった―――



「そんなに固まらなくても」



クスッと笑いながら
ヒメを解放。

デスクに戻り
何事もなく仕事は始めてしまった。


何が起きたのか
呆然と立ちすくみ
瞬きを数回。



(ビッ…クリしたぁ。
 兄弟揃って急にどうした…?)



戸惑うばかりだった―――