「え、い、いや?
そんな事はない…けど」
自分でも驚くほど
目が泳いでいるのがわかる。
葛藤の真っ最中だったため
こういう時の対処法を
考えていなかったのだ。
「あらかた
シキから聞いたんだろ」
「え。」
「隠し事が下手か」
完全にバレていたらしく
また深い溜め息を吐いた。
「アイツ…
後で覚えとけよ」
殺意が見える。
「でもほら。
副社長も心配していたし…」
「あ?」
「…すみません」
相当ムカついている
ご立腹なナツメに
ヒメも何も言えなくなってしまった。
「何を吹き込まれたかは
だいたい想像がつくけど
俺の事は気にしなくていいから。
忘れろ」
突き放す言い方をされ
『はい…』と
小声で返事をするが
それでもヒメは
伝えたい事があった―――
「もし。
何かあったら…
その時はいつでも聞くから」
「ん」
「アタシも聞く事しか出来ないけど…
それでも、気が楽になるなら
なんでもするから…」
この言葉が
ナツメがヒメに言ったセリフだと
彼自身も気付き
フッと笑みを浮かべた。


