―――当時、ナツメは24歳。
2つ年下のキサキは
ウェブデザイナーをしていて
何度か仕事でナツメの会社とも
関わりがあった。
仕事上で会う事が増え
幾度となく顔を合わせていくうちに
お互い惹かれ始めた。
2年の交際を経て婚約―――
「順調に行けば
あとは結婚だけだったんだけど…。
ナツメが27歳の時に
社長に就任したちょうどその年
彼女に病気が見つかったんだよ」
「病気…?」
「…癌だった。
それも結構進んでいてね…
見つかったのも遅かったから
1年後には他界」
「…そう」
「結局、結婚もしなかったみたい。
その辺りの詳しい事は
さすがの俺も聞けなかった。
酷な事じゃん?」
シキは煙草に火を点け
どこか寂しそうな表情を
ヒメに向けた。
「ナツメ、あんな性格だから
弱いところとか
他人に見せないワケよ。
だけど、人知れず
命日は毎年墓参りに行って
その日は喪に服すっていうの?
仕事は一切しないんだよ。
たぶん今でも
引きずっているんだろうね」
ナツメの知らない過去を
今初めて知り
ヒメは言葉を失った。


