この会社の社員達だろう。
見知らぬヒメを見るなり
驚いた表情で
彼女から目を離さない。


そんな視線をビシビシ感じながら
社員達と目を合わせぬよう
静かに社長室へと入っていくと
デスクに座るナツメの前に
男性2人が大量の書類を
広げていた。



「社長、書類をまとめました。
目を通してもらえますか」


「了解。
 明日までだよな?
 見ておく」



一礼した男性2人が社長室をあとにすると
代わる代わる他の社員が入ってきては
書類の束を置いて部屋を出ていく。


ようやく波が終わった頃には
ナツメのデスクは
多種類の紙が山積みになっていた。



「今日も帰れねぇな…」



溜め息を吐きながら
山積みになっている1番上の用紙に
目を通し始めるナツメ。


「…お茶でも入れてきましょうか?」


「おー。サンキュ。
 ちなみにコーヒーな。
 ブラックで」



何もしないワケにもいかず
声を掛けてみると
ナツメは
書類から目を離さないまま
お茶→コーヒーにチェンジの注文が入り
ヒメは準備するため社長室を出た。



…が。
どこが給湯室か
聞いていないため
場所が不明だった事に
ふと気が付いた。