「みなさんスーツが似合いすぎで
超カッコイイ!」
「職業もまさに理想的!」
「頭良すぎ!」
「しかもお金持ち!」
「煙草も似合う!」
「「「ぜーんぶ素敵すぎ~!!」」」
ひたすら褒め殺す。
酒も入って
さらに全員のテンションが上がっていく。
…にも関わらず
ヒメとその正面に座る“若社長”だけは
時が止まったかのように
目の前の酒をひたすら飲み続ける。
地味に競い合っているようにも見えるほど。
この若社長
合コンが始まってから
ほぼ口を開かない。
声を発しない。
喋る様子がまるでない。
機嫌が悪いのか
ずっとムスッとしていて
何をしに来たのかわからない。
そんなヤツが正面に座っているのだから
ヒメも気を使って無駄に喋らなくていいので
却って助かっていた。
合コンの盛り上がりも頂点に達した頃
ヒメはというと…
「眠いしもう帰ろっかな…」
化粧直しにトイレに来て
鏡に向かって本音を口に出していた。
飲むだけ飲んで満足したから
気持ちはもう家に帰って寝るモード。
大きなアクビをしながら
トイレから出ると
通路を30代くらいの男性3人が封鎖していた。


