「あの、社長さん…」
「…はい」
「僕が言うのもおかしいですが…
あのコを宜しくお願いします」
深々とお辞儀をする父親に
ナツメは少し驚いた様子。
しかし父親は構わず
頭を下げたまま続けた。
「社長さんにとってあのコは
なんの関係もない
1人の社員に過ぎないと思います。
それなのに
こんなお願いをするのは
間違っていると理解しています。
それでもッ
あのコが過去を思い出した時に
傍にいてくれたアナタが…
僕には“縁”に思えました」
壊れそうなほど
儚く脆いガラスでも
まわりを包むクッションみたいに
ヒメを支えれもらえるのは
ナツメなんだと…
「ただ傍にいてあげてください。
もし泣きたい時は
もしあのコが望む事があれば
近くに…いてあげてください。
それだけでいいです。
もう、1人で苦しませるのは
イヤなんだ…」
悲痛の訴えは
ナツメにも届いていた。
父親と
同じ気持ちだったから。
あの時の
ヒメの心の叫びを聞いた時
確かに感じた
“守りたい”
それは何も変わらない。
「はい」
決意の返事をし
父親と握手をした。


