その間
チラッとナツメを見るが
窓際に肘を付き
目を閉じていた。
結局
どこに行くワケでもなく
目的なくぶらぶら~っと出掛けた後
会社へと戻ってきた。
到着するなり
社長モードに戻り
会社へと入っていく。
「あの社長
いつもあんな感じなんです?」
専属運転手に聞いてみると…
「そうですよ。
悩んだり疲れたときは
あぁやって用事のあとに
ドライブを希望されて
何も言わず走るんです。
そして戻ってきたら
社長はまた会社に尽くすんです」
どうやら社長の“ドライブ散歩”は
日々の日課になっているらしく
運転手もそれを理解し動いているようだった。
「では秘書様。
社長の予定がわかりましたら
またご連絡をお願い致します」
「あ、はい。
また連絡します」
「では私はこれで失礼します」
そう言って運転手は
また深々と頭を下げると
車をどこかへと移動していった。
なんとも秘書に対してまで
礼儀が正しい。
次の仕事をと思い
急ぎ足で社長室へと向かうと
すでに先約があり
スーツ姿の数人の男女が
ドアの前に立っていた。


