恋をする、その先に…


あの夢を見た日を境に
毎日、何度も
同じ夢を見た。


繰り返し見るその夢は
いつも同じ場面。


どうして
そんなに苦しめられるのか
何に恐れているのか
1つも思い出せず
眠る事すら苦痛に感じていた―――



「今日は久しぶりに
天気回復したねぇ~」



社長室の窓を開け
外を眺めながら
大きく伸びをするシキ。

今日は数日ぶりの快晴。



「確かに天気いいな」



ナツメも
自身の席で
コーヒーを啜りながら
外を眺めている。



ヒメも一緒に
同じ方向を見ているのに
気分は晴れずにいた。


雲1つない空を見ても
“あの夢”の呪縛から
解放されたワケではないから。


そんなヒメを
ナツメも気にしてはいた。



「あ、そろそろ来客が来る時間…」



腕時計で時間と
スケジュールの内容を見合わせ
ナツメへの来客対応するため
ヒメは社長室を出て
1階ロビーへと向かう。


他社からの訪問は多く
アポイントを取り次ぎ対応するのが
ヒメの仕事の1つでもあったため
いつも通り仕事を熟す事を考えていた。


この“来客”の登場が
ヒメに“記憶”という
大きな影響を与える事になるとは―――