恋をする、その先に…


「だけど…
あんまり無理するなよ?
 お前は本当
 1人で抱え込む事が多すぎ。
 危なっかしすぎて
 俺達の心臓が保たない」



そう言ったナツメは
不安に堪えないという目つきで
顔を曇らせた。



「そうだね…
 ありがとう。
 でも、大丈夫。
 本当にもし何かあったら…
 その時は、ちゃんと話す」



複雑そうにニコッとし
あまりに意味深な発言をするから
明らかに“何か”ある事を
間接的にも伝えていた。

本人すら気付かない
“SOS”なのかと―――



「…今日は定時に終わるし
 ジルヴァラ行くぞ」


「え!?」



先ほどまで
完全に拒否していたナツメが
突然、肯定的になったから
何事かと愕然とした。



「何?不服?」


「まさか。
 お酒なら喜んで行くよ。
 んでも急にどうしたの?」


「いや?
 気が変わって
 俺も飲みたくなっただけ」


「…そうなんだ」



ナツメの言葉に
それほど深い意味とは考えず
その日シキも含め3人は
深夜遅くまで飲み明かした――




この時のナツメは
ヒメの小さな異変に
少なからず気付いていた。

何を抱えているのか
悩んでいるのか
もちろん詳しくはわからない。


だから
放っておきたくなかったのだ―――