恋をする、その先に…


「ぷッ…」



黙って聞いていたヒメは
そんな2人の会話に
思わず吹き出してしまった。



「なんだよ…神崎」


「だって2人の会話が
コントしてるみたいだから、つい」


「あのなぁ
お前まで何言ってんだ」



こんな天気でも
和やかな空気に包まれる一同。



いつの間にか
こんな毎日が続く事を
密かに願っていた。

それはヒメだけではなく
シキも、そしてナツメも―――



そんな少しだけ穏やかで
居心地が良い時間だったのに
“てるてる坊主”を見つめながら
ヒメは背筋がゾッとするのを感じた。


それがなぜなのかも
わからない。


再び光る雷と壮大な音に
シキとナツメが
窓の外の様子を見ているが
ヒメはそこには近寄らず
出来るだけ離れた位置で
静かになるのを待っていた。



(雷が怖いワケではないのに
 アタシは何に怯えているの…?)



寒くもないのに身震いがする。
昨日見たあの夢が
何度も頭に浮かび、消えない。



「コーヒー淹れてくるね…」



気分を変えようと思い
コーヒーを口実に
席を外す事にした。

ココは窓が大きいから
雷も外もよく見える。
出来るだけ昨晩の夢から
遠ざかりたかったのだ。