しかしホコリ1つ見当たらず
掃除が行き届いていた。
「この部屋は好きに使っていいから。
制服は総務課に準備するよう伝えておく。
仕事はノートパソコンを使って。
あとで持ってくるな」
「あ、うん」
「俺がさっきまで作ってた資料作成の続きを
明日までに頼むとして
とりあえず今から俺に同行して」
「了解です…」
ハードスケジュールの予感しかしないが
初日から有無を言わさぬナツメの指示を
素直に聞くしか出来ず
慌ただしく会社を出た。
すでに入口に横付けされ停めてあったのは
ピッカピカに輝いてる黒のセダン車。
紺のスーツを着た30歳代くらいの
若い男性がドアを開けて待っている。
彼はナツメ専属運転手。
「待たせたな」
「いえ。お気になさらず。
ですが、あの…この方は?」
ナツメが乗ったあと
ヒメを見るなり
不思議そうに首を傾げる運転手。
「今日から俺の秘書。
車の手配も秘書がするから
いろいろ教えてやって」
「承知しました、ナツメ様」
「頼むな」
ナツメに対し
垂直に頭を下げる専属運転手。


