【雷が鳴り響く
大雨の、あの日―――
誰かの
叫び声を
聞いた…気がした。
それが誰なのかも
本当に聞こえたのかも
わからない。
そしてなぜか
車が見えた。
病院に、自宅に、人影が。
誰かと一緒にいる
誰かが泣いている
そして
声がする。】
【―――オマエガカワレバ――― 】
「はぁッ、はぁッ」
まだ外が真っ暗の中
ヒメはイヤな夢を見て
ハッとして目が覚めた。
暑くもないのに
止めどなく流れる汗に
恐怖を感じる。
「な…に、今の…」
初めて見た光景に
胸が締め付けられた。
その夜ヒメが見た夢は
今まで記憶を封印するかのように
忘れていた“何か”を
蘇らせようとしていた――
思い出さないといけないような…
「なんか…怖い。
これ以上は…イヤ」
ヒメは無意識に
“思い出したくない”と
頭が、心が拒否。
今もなお
降り続ける雨音が
ヒメを苦しめる――


