先ほどの事が
イヤでも思い出してしまう

熱があったとは言え
シキと交わした2回もの…キス。

本人は覚えていないのか
何も言わなかったが
妙に意識してしまいそうになる。


ただ
もし本人が気にしていないのなら
何もなかった事にした方がいいのかもと
頭を切り替える事にした―――



「もう具合は平気そう?」



Tシャツを着て戻ってきたシキに
ヒメはお粥を作りながら様子を伺う。



「んー。
 大丈夫そうだよ。
 まだ頭は痛いけどねー」


「熱はまだある?」


「わっかんないけど
 もう下がったっしょ」



なんかまるで
夫婦のような光景だ。



「勝手にキッチン借りたけど
 お粥作ったから食べて。
 薬も飲んでゆっくり寝てね」


「ありがとうヒメちゃん。
 俺のいい奥さんになれるね」


「褒めてくれてありがとうー。
 “俺の”は余計だけど」



仲睦まじく
微笑ましい会話をしながら
シキにお粥を提供し
薬と水まで用意した。



「美味しい!
 ヒメちゃんの手料理が幸せ」


「お粥くらいで大げさ」


「やっぱさすが
 俺のいい奥さん」


「だからね?」



『“俺の”は余計だ』とツッコミつつ
帰る支度を始めた。