「…ん」



どのくらい時間が経ったのか
シキは目を覚まし
今の自分の状況を思い出そうとした。



「はぁー…
まだダルいな」



しかし眠る前よりかは
少しラクになっていて
微熱ほど下がっているのは
なんとなくでも感覚でわかるほどだ。



「シャワー浴びて
 着替えるかな…」



重い体を動かし立ち上がり
自室を出て洗面所へと向かおうとすると
ふと、リビングのテーブルに
突っ伏して眠るヒメの姿を見つけた。



「え…ヒメちゃん?」



もう帰っていたと思っていただけに
ココにいる彼女に驚いた。



「どう…して?」



ひとまず起こそうと思い
何度か声を掛けるが
起きる気配がない。


ヒメ自身もまた
ココ数日のハードな仕事に
知らず知らずに疲労が蓄積され
シキが目を覚ます間
静かな部屋の心地良さに
そのまま眠ってしまったのだ。



「ずっと
 傍にいてくれたんだね…
 ありがとう」



起こさないようにタオルケットを1枚
ヒメの体に掛けてあげ
寝かせてあげる事にした。



気持ち良さそうに眠るヒメの
寝顔を見つめながら
キスの事が頭を過る――



「やらかしたな…俺」



もちろん
口移しの水も
記憶に残っていた。