「ふぅ…」
まだ具合の悪そうなシキは
顔色も悪く元気がない。
「熱が39℃あるから
まだ辛いだろうけど…」
「そんなにあるんだ…
うわー…
熱なんて久しぶりに出たな」
『基本的に健康体なのになぁ』と
呟きながら、再び目を閉じてしまった。
「水分、摂った方がいいよ。
起きられる?」
テーブルに置いといた
冷えたスポーツドリンクの蓋を開けながら
シキに声を掛けると
ゆっくり目を開けヒメを見つめた。
「飲ませてくれてもいいよ?
なんなら、口移しで」
こんな時でも
そんな冗談が言えるシキに
少しホッとしてしまう。
いつもと変わらないから。
「冗談はいいから飲んで。
脱水になっちゃうよ」
軽めにスルーし
ペットボトルをグラスに注いでいると…
「冗談じゃないよ」
そう言うと
急に真剣な眼差しをヒメに向け
ジッと直視する。
「え…」
驚いたのも束の間。
スッと伸びたシキの手は
ゆっくりとヒメの髪に触り
そのまま
人差し指で彼女の唇にそっと触れた―――
「冗談なんかじゃない。
キス…
もう1回、したい」
甘く優艶な瞳が色っぽくて
思わず女のヒメですら魅了されそうになる。


