恋をする、その先に…


「あんなに謝られるとは
 思わなかった…」



普段ならきっと

『ヤッタ。
 ヒメちゃんのキス
 貰っちゃったぁ』

…とか言って
嬉しそうにするくせに、と。


先ほどのシキは完全に違った。



「熱が出ると
 人は弱るって言うけど…
 逆にビックリするよ…」



ヒメ自身
“嬉しい”とか
“嫌だ”とは
怒る気持ちもなく
複雑な心境だった。

ただずっと…
心臓の鼓動が速いまま。




少し経った頃―――



「…ゴホッ」



咳で目が覚めたシキは
まだボンヤリと天井を見つめ
意識が覚醒するのを待った。



「目が覚めた?」



そこに
ひょいと現れたヒメ。



「あー…
 ヒメちゃん?
 ずっとココにいたの…?」



もういないと思っていただけに
少し驚いた様子で目が覚めた。



「さすがに放置するのは
 どうかなと思ってね」


「そっか…
 さっきの事もあったから
 いないかと思った…」



“さっきの”キスの事を言われ
ヒメも思い出して複雑な表情を浮かべた。



「本当いきなりごめんね…
思い出しただけで恥ずかしくなる」


「まぁ…熱があるから仕方ない」



シキに言っているのか
自分に言い聞かせているのか…
どちらの意味も込めていた。