「ご、ごめんッッ」
腕を放し
自分からヒメを遠ざけた。
どうやら完全に
目が覚めたらしい。
ヒメは未だ硬直状態で
何が起きたのか
頭を整理するのに時間を要していた。
「俺…引かれてるねぇ…。
ごめん…
かなり頭がおかしくなっているね…
マジで…ごめん」
シキにしては珍しく
ヒメにしてしまったキスを
激しく後悔しているらしく
何度も謝罪の言葉を口にした。
だが、それも少しずつ
細く小さくなっていく―――
「副社長…?」
熱くなったせいか
申し訳なくて混乱しているのか
シキは先ほどよりも
更に苦しそうな表情に変わっていた。
キスに驚き
逃げだしている場合でもなく
とにかく今は少しでも
症状を落ち着かせる事が先決だと考えた。
ありとあらゆる
引き出しというところを開け
必要最低限のモノを見つけシキに施すと
ほんの少しだけ
息苦しそうな表情が緩和しているように思えた。
眠るシキ見ていると
先ほどの出来事を思い出してしまう―――
「何してくれてんの…
本当、チャラいヤツ…」
もともと生粋の女好きだから
みんなにしているんだろうとは
なんとなくわかる。
けれど―――


