『何かあったのか?』
「業務の方は大丈夫。
報告した通りトラブルも解決したし。
ただ…」
1度、言葉を飲み込み
そっと静かに秘書室のドアを開け
副社長室の様子を伺った。
物音1つしない静かな状況だ。
『どうかした?』
「いや、アタシがっていうより
副社長が疲れ気味で…」
『シキがか?』
「ココ数日
不眠不休で働いてて
今日は特に顔色も悪いし…」
『アイツにしては珍しく
自分を追い込んでんだな』
ヒメはナツメと
改めて今後の予定等を打ち合わせ
シキを休ませる方向で調整し
電話を切った。
――コンコン。
「開けるよ?」
今日の予定がなくなった事を知らせるため
ヒメは副社長室を訪れると
ソファで横になっているシキの姿を見つけた。
「やっぱり顔色悪い…。
副社長、起きられる?」
「…ん」
あまり大声を出さないように
声を掛けると
シキはゆっくりと目を覚ました。
「あー…
時間?」
腕時計を確認しながら
ゆっくりと体を起こした…が。
「…ッ」
激しい頭痛に襲われたらしく
立ち上がる事が出来ず
頭を押さえたままソファに座っている。


