「来ないかと思った」
「いや…さすがに
何も言わずにってワケにはいかないと思って…」
「まぁ、それもそっか。
それじゃあ
さっそく仕事をしてもらいたいんだけど」
言いながら
またデスクに戻り
今度は引き出しから書類を出し始めた。
どうやらマスターの言った通り
就職させてもらえるらしい。
「え、でも待って?
なんの仕事をするの?
なぜアタシなの!?」
「いきなり質問攻めかよ。
仕事を探していたんしょ?
履歴書を見て採用を決めたんだ」
説明するのが面倒らしく
書類を眺めながら
端的に述べるナツメ。
そんな面接らしくない面接で採用され
さらにまた複雑な心境。
「で、本題に戻るよ。
仕事の内容だけど
俺の秘書をして」
「…え゛?」
ナツメの思いもよらない発言に
唖然としてしまう。
「ココに仕事の内容が記載されているから
読んでおいて。
とりあえず今日の仕事は
今俺が入力していた資料の作成の続きを頼むよ」
「ちょっと待って!
秘書なんて経験も知識もないんだよ!?
無理ッ」
「無理かどうかは俺が決めるから。
キミには素質と可能性があると思ってるワケだよ」
「な、なにそれ…」
自信満々に仰るが
その自信と根拠は
どこから来るのか
褒められているはずなのに
素直に喜べない。


