恋をする、その先に…


あれから1週間ほど経ち
女性社員達の陰口は
ほとんど聞く事はなくなった。

だが、しかし。
今度は避けるように無視するという
新手の嫌がらせも始まった。


ヒメがそんな事を
気にするはずもなかったが。



「今週乗り切れば
 来週には社長が帰ってくるよ」



1カ月という
意外にも長い社長の留守も
いよいよ終盤に入り
ようやくシキも“社長代理”の大役から
降りる事が出来る。



「やっとかぁ~…」



副社長室のソファに項垂れながら
シキの体力もメンタルも限界だった。



「あとは今週の
 度重なっている会議を
 乗り越えるだけか…」



『ふう…』と溜め息を吐き
静かに目を閉じ瞑想している。


実はココ数日
シキは不眠不休で働いていた。
トラブルが発生したからだ。



「今日は予定が一息ついてるし
 少し休んだら…?」



珍しく元気のないシキを見るのは初めて。
しかしそれ以上に心配事があった。



「顔色…悪いよ?」



明らかに不調だと感じた。
過労で倒れてしまうのではないかと
思うほど…。



「…だろうね。
 あんまり認めたくはないけど
 俺自身もそんな気はしているよ」



閉じていた目を開け
煙草を1本、口に加えた。