恋をする、その先に…


―――社員専用、給湯室。



「本当、あの秘書
存在が生意気だよね。
今日も各部署ウロウロしてたし。
 うざいよね」


「辞めてくれないかなー」


「自分からは辞めなそう。
 絶対あぁいうタイプは
社長達の前じゃいい顔してんだよ」


「それ言えてる。
“女”の顔してそう。
 色気とか出して
 気を引いてんだろうね~」



煙草片手にコーヒーを飲みながら
女性社員3人組の
ストレスの鬱憤晴らしのネタに
ヒメの話題が持ち出されていた。


どこで誰が聞いているかも
わからないのに…。



「ふーん。
 そういう事ねぇー」



給湯室に突然現れたのは
偶然通りかかったシキ。

しっかりと
3人の会話を聞いていたのだ。



「ふ、副社長ッ」


「あの…これは…その」



驚いた女性社員達は
『やばい』と思ったのだろう。

必死に言い訳を考え
顔を引きつらせながらも
笑顔を作っていた。


しかし、シキは
完全に3人を敵視。



「よくこんな公の場で
 人の悪口を平気で話せるねー。
 俺みたいに聞いてる人が
 他にいるかもしれないよ?」



優しく語り掛けてはいるが
冷ややかな目つきで
言葉の裏には鋭いナイフが
隠れていた。