一瞬、沈黙な空気が流れる…
「ま、俺のヒメちゃんに
何かあったら困るからね~」
いつものようなシキの発言に
『普段通りか…』と納得しても
なんだか引っ掛かる。
あまり深くは追究せず
ヒメとシキは再び
自分達の仕事へと戻った――
日を増すごとに
ヒメを良く思っていない女性社員達の
彼女への風当たりは
更に強まっていく―――
「社長がいないからって
今度は副社長の傍に居すぎ」
「本ッ当。
副社長の秘書でもないのに
毎日ベッタリだし」
「たぶん狙ってんじゃない?
イケメンにチヤホヤされて
ちょっと勘違いしてんだよ。
自分だけ特別とか?」
「えぇ~本当に?
それって可哀想~」
「でもウザ~イ」
あいかわらず女子トイレは
陰口の溜り場と化しており
個室に入っているヒメは
出るに出られなくなる。
(出るタイミングを失ったな)
こんな事は日常的にあり
きっとどの会社も当たり前の出来事だから
それほど気にも留めていなかった。
しかし
これほどまでの悪口と
あからさまな態度は
どう接していいのか
悩む問題だ。


