「何かあった?」
「え?」
「さっきのコ達と。
ピリついた空気だったから」
シキはどうやら
さっきの女性社員達の視線に
何かを察していたらしい。
「特に何もないよ」
「そう…?」
「ないない。まぁ、ほら。
納得出来ない事や許せない部分は
誰にでもあるから」
「ふーん」
理由はなんとなくでもわかっていた。
たぶん例の“前秘書”が
関係しているって事くらい。
「また危ない事に
巻き込まれないよーにね」
「アタシはいつだって
巻き込まれるつもりはないよ」
『そんな事を望む人はいないよ』
と続けたが
ヒメとは反対に
シキはやはり心配な様子。
「女って怖いからねぇ~。
何するかわかんないし」
まさかシキの口から
“女が怖い”なんて聞くとは思わなかった。
どうやら
ただの女好きってだけでも
ないようだ。
「大丈夫。
これだけいろいろあったから
もう何されても平気。
度胸も覚悟も身に付いた」
「そんなカッコイイ事言わないで。
心配しているんだよ?
ナツメは秘書に何かあれば
事件になってしまうし。
それに俺だって…」
シキは小さく何かを言い掛けて
なぜか急に黙ってしまった。


