受付を通り
社長室に案内されるが
まさかの30階。
エレベーターで酔いそうな長さだ。
「…ココか」
ホテルのような
純白綺麗な長い廊下の奥に
“社長室”を発見し
ノックしてみると…
『どうぞ』
聞き覚えのある声がし
ゆっくりと扉を開いた。
「失礼しまーす…」
入るなり
何より驚いたのは
社長室の広さと
大きな書棚。
革素材の高級そうなソファに
50型はあるテレビ
ガラス張りの窓の前は
大きなデスクが強調されている。
そこで仕事をしていたのは
銀縁メガネの
社長、ナツメ。
真剣な眼差しで
超高速でパソコン入力をしている。
「そこに座って待ってて」
目線を画面に向けたまま
ソファに座るように促されるが
忙しそうなナツメの姿に
なんとも言えない複雑な心境。
時計を見ると
ちょうど2時。
決して時間を間違えたワケではない。
「はぁ…
終わらねぇ」
独り言なのか
大きく溜め息を吐いたかと思うと
突然、手を止めて立ち上がり
こちらへと歩いてきた。


