「本当イヤなんだけど…」
『はぁ…』と深い溜め息を吐くシキに
若干同情してしまう。
「アタシも出来る事は協力するし
頑張ろうね、副社長」
フォローの言葉は
それしかなかった。
「あ、ヒメちゃんいるのか!
しかも2人きり…
それなら頑張れるかもッ」
仕事<ヒメ
なんとも現金なヤツだ。
しかしシキの言うように
社長の出張中は
“副社長秘書”として
彼のサポートをしないといけない。
ヒメ自身も
過酷な仕事でもある。
「間違っても
手を出すなよな」
何かを察したナツメが
シキに釘を刺すが。
「わかっていますとも!
まっかせなさ~い!」
この男
絶対わかっていない。
いろんな意味で
先が思いやられるヒメだった―――
そして当日―――
「んじゃぁ行ってくるけど。
留守は頼むな」
「うん。
頑張ってみる。
気を付けて」
まるで夫婦のような会話を交わし
ナツメを見送るヒメ。
「ヒメちゃんと
仲良く楽しむから安心して~」
邪魔をするシキ。
呆れながら出発するナツメを尻目に
シキは楽しそうだ。
「今日から2人きりだね。
素敵な夜にしようね~」
「仕事するよ、副社長」
完全無視して
業務に戻るヒメ。
長い留守番が始まる―――