月が変わり
暦の上では初夏を指してきた頃。

毎月初めに行う
スケジュールの把握と管理で
“ある予定”に戸惑った。



「社長の出張
 そういえば来週かぁ…」



事前に日時と出張先が決まっていたため
すでに手配は済んでいたのだが
ヒメが雇われてから初めての社長の留守だ。



「1カ月の出張か…
 長いな」



社長がいるから
会社はまわっているのに
いないとなると
次の責任者は…



「ムリムリ!
 俺にそんな大役やめてー!」



もちろん
副社長のシキになるワケだ。



「“無理”じゃねぇよ。
 副社長なんだから当たり前だろ。
 しっかり会社を守ってくれよな」



来週のスケジュールを見ながら
ナツメがシキに
会社を託すが。



「マジで本当にカンベン。
 1カ月は長すぎっしょ。
それでなくても俺だって仕事多いのに
責任持つなんて荷が重すぎる」



珍しく弱気のシキ。

それもそうだ。
シキも副社長としての仕事も多い。
それなのに
社長の代わりなんて恐ろしい大役
弟とは言え、出来れば避けたいところなのだ。



「会社にもしもの事があったら
 わかってるよな?」



不適な笑みを浮かべながら
最後の追い打ちを掛けた。