「たぶん新藤さん
 『自分の会社に就職しないか』
 って言ってるんじゃないですかね」


「…マジで?」



そんなワードは一言も出てこなかったが
単発に発せられた言葉は
確かにそう捉えられない事もない。




結局その後
ヒメは帰宅。


ナツメが何時に帰ったかはわからず
朝を迎えた―――




――翌日。



「うーん…」



名刺を眺めながら
朝から考え込むヒメ。



「マスターの言う通りだったとしたら
なんの仕事しろと?」



自分の履歴書に目を通しながら
ITとは無縁すぎると改めて考えてしまう。



しかし
仕事が見つかるかもしれない
大チャンス。



「イチかバチか
 コレに賭けてみるか…」



話を聞いてから決めるのもアリかと思い
スーツに着替え
約束時間近くに
ナツメの経営するオフィスビルへと向かった。



場所は
電車1駅超えた先。

駅からも徒歩10分の距離で
それほど遠くはない。



到着してまず驚いたのが
ビルの規模。

最上階は何階なのかと思うほど。


中に入って更に規模の広さに
圧倒された。