しばらく目を通していたナツメだが
何も言わず封筒に戻し
ようやく返却された。



「確か…
 神崎って言ったっけ?」


「え…はい…」



まさかの名前を憶えていた事に
さらに驚いた。



「じゃあ…
俺のところに来な」



そしてなぜか
爆弾を投下された。



「はい?」



前置きがないため
ドストレートなその言葉に
どんな意味があるのか
突然の発表に
理解に苦しんだ。



「明日の午後2時
 ココに来てもらえれば」



そう言って胸ポケットから取り出した
“○○IT 株式会社 
代表取締役社長 新藤ナツメ”
…というような名刺を1枚手渡された。



(社長とは聞いていたけど
 まさかこんな大手企業だったとは…)



感心している場合ではないのだが
若そうなのに
有名な会社の社長という事実に
驚かないワケがなかった。



「待ってるから」



単発的に発せられる
“女子が勘違いしそうな”
発言の連続に
まったくついていけない。


そんなヒメの表情に
またも助け船を出してくれたのは
ギンだった。