ヒメがナツメの秘書で働き
数か月が経った頃…



「レセプションパーティー?」



いつも通りの朝
社長室にてスケジュールの確認をしていると
突然ナツメの口から発表された
一般庶民には普段聞き慣れないパーティーに
瞬きを数回。



「まぁいわゆる立食パーティーだから
 堅苦しくなくていい。
普段通りで大丈夫」



パソコンをカタカタと
軽やかに打ちながら
さらっと言ってくれるナツメ。



「普段通りなんて
 場が全然違うけど…。
 マナーとか大丈夫かな…
 そもそも服装だって持ってない…」



「ドレスコードは心配するな。
 知り合いに頼んでおく」



ナツメのような大企業の社長とは
やはりこういう時に
住む世界の違いを痛感させられた。



「取引先の社長が主催する
大事なパーティなんだ。
誘いの声が掛かる会社も数少ない。
だから会社のためにも
出席しないワケにはいかないんだ」



そう話すナツメの目は
“社長”としての顔であり
決して浮ついていなかった。


そんな顔をされたら
社長に仕える秘書として
それ以上拒否する事は出来ない。