先生は、さっきとは打って変わって静かにドアを閉めると、息を整えながらあたしの目の前までやって来た。
何か、ちょっと不機嫌…?
それに、何でここに……
「何で泣いてんの?」
やっぱり怒ってる。
じゃなくて、何でって……
先生のせいです。
…何て、言えるはずもなく、あたしは先生から視線を外して黙った。
「じゃあ、質問変える。それ、俺にくれないの?」
え…
思わず顔を上げると、先生の指は生チョコを指さしていて。
どうして?
先生は、あの子からチョコ貰ってたじゃん…
告白までされて……
それなのに、あたしのまでくれなんて、欲張りだよ。
あたしの気持ち、知りもしないくせに…
「あげません」
キッパリそう言うと、先生の眉間に皺が寄った。


