「高成、行かんと」

乗り遅れたらあかんから、そう思っても抱きしめてくれる高成から離れたくないのはあたし。

高成も同じ気持ちだと思う。
でもほんまに時間ヤバイから、そう言おうとしたら腕の力が抜けて二人の間に隙間が出来た。

「離れたくない、けど行くわ」

高成の笑顔が滲んで泣きそうな自分に聞き分けの悪さを感じる。
子供じゃないんやから、そう言い聞かす。

「うん、絶対会いに行く。身体、壊さんようにね」
「涼も、じゃあな」

もう一度抱きしめられて額にキスを落とすと手を振って早足で離れていく。

その先には悟さんもおらんくて、人の多さに消えてしまうまで見つめてた。

今まで大丈夫やったのに。
半年間我慢出来てたのに。

はっきりと自分の気持ちに区切りつけたら、こんなに寂しく感じるなんて思わんかった。

もう声が聞きたい。
手が冷たくて高成が足りん。

人混みに紛れれば高成の匂いが消えそうで少しの間、その場所から動けんかった。

いつまでこんなんが続くんやろう、て考えたら気が遠くなりそうやから考えるのはやめた。
考えたところで答えは出ぇへんし、今までそれでやってきたから乗り越えられる。

高成と二人でなら、寂しさも辛さも乗り越えられる。
どんなに忙しくて会えんくても時間に負けんくらいの強い想いで乗り越えられる。
それが“運命”ってことやと思うから。

あたし達が離れることはない。

携帯を取り出して高成のメモリーを呼び出しメールを作成する。
そこには“頑張ろうね”の文字。

すぐに返ってきたメールには

【俺達は大丈夫】

そう書いてあった。





























Do you believe in destiny?


そう聞かれたら僕はイエスと答えるだろう。

この夢物語のような出会いを、幸せなこの瞬間を与えてくれた神様に感謝する。


僕達はこれからも物語を作り上げてく。

夢のような出会いと運命に導かれる二人の未来。


Do you believe in destiny?




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