事の発端は今日の早朝。
年明け、仕事始めの日に出勤した高成を玄関で見送って、昼からはお正月にせんかった家事を忙しくこなしてた。

お昼は千秋と散歩に出かけて、夕方は千秋の好きなカレーを作って、帰りが遅くなるっていう高成からのメールで先に晩ご飯を済ませた。

お風呂にも入れて、テレビを見てたら千秋が寝こけてて歯を磨かせて寝かしつけた。
高成の帰りを待ってる間、千秋が目を覚まして泣いたからあやしたりもした。

そうしてたら日付が変わって、ほんまに遅いんやな~って思って、正月明けくらい早く帰ってきたらええのにって思ってた。

いつもの如く、あたしはテレビを見ながら高成を待って、気が付いたら寝てたらしく目を開けたら時間は4時前。

リビングで寝てるということは高成は帰ってきてないってことやけど、一応寝室を確認して高成がいてないことを確認すると次は携帯をチェックした。
ちなみに連絡は無し。

泊まりになったり涼介の家に泊まったりするときはちゃんと連絡くれるのに今日は連絡がない。
まだ仕事してるんかと思って連絡しようと思ったけど、スタジオや事務所で泊まってて寝てたら起こすことになるから...と思ってメールも電話もするのをやめた。

まだ陽が昇るまで時間があるからベッドで寝なおそうとリビングから移動しようとしたら家の近くに車の止まる音が聞こえた。

遅くなるときはタクシーで帰ってくるから今帰ってきたんかも、と思ってじっと待ってたら、女の人の声も聞こえる。
また隣のおじさんが女の子連れて帰ってきたのか〜と呆れてたら、その声はだんだん大きくなって、しまいには家の前で聞こえる。
その声に混じって高成の声も聞こえる。
何を話してるんかまではわからんけど、数人の女の子の声と高成の声は弾んでて楽しそう。

玄関前まで来たあたしはその場でドアを開ければよかったんやけど、なんか現実を見たくなくて寝室に入って、千秋の体温で暖かくなった布団に潜りこんだ。
外の声が聞こえんように頭まで被って無理矢理寝ようとした。

ガチャリ、と玄関の鍵が開いて、「バイバ~イ」と言う声が聞こえる。
それに高成が応えたんかはわからんけど、帰ってきたらまず寝室に入ってくる高成に起きてることがバレんように必死で狸寝入りをした。
でもその努力も無駄に終わり、高成は寝室に入ってくることなくバスルームに向かった。