クリスマスなんかキリストの誕生のお祝いの日なんやから別にどうってことない。
日本人が勝手に“恋人達のクリスマス”ってゆうてるだけで、ほんまはそんなイベントなんかとちゃうもんやねんから。
だから、別に改めて“メリークリスマス”って言う必要ないし、七夕あじゃてあるまいし恋人が会う必要もない。
世間の催してもんに流されるからこんなことになるんやん。

そこまで脳内で喋って溜息吐いた。
こんな風に考えて素直になれん自分が嫌になる。
会うことは無理でも今すぐ電話することはできる。

意地になってる自分に呆れる。
仕事はどうしようもない。
距離もしょうがない。
それが自分らの決めたことで覚悟してたこと。

ベッドの枕元に置いてる小さい箱を手にとる。
高成の好きなブランドの高成の欲しがってたネックレス。
正直値段を見たときはびっくりしたけど絶対あげたいって思ったから絶対今日渡したかった。

・・・やっぱり会いに行けばよかった。
明日も仕事やからハードスケジュールやけど仕事が終わってからでも十分行けたのに。
後悔先に立たずってこういうこと。
今更悔いてもどうにもならん。

「涼〜、お風呂は?」

階段から母の叫ぶ声。
物思いに耽ってるときに聞くときに聞くこの声ほど腹立つものはない。
黙ってたらさらにめんどうやから「入るよ」と答えてゴロンとベッドに転がり天井を見た。

伸びをするように天井に向けて伸ばした手の先にはシンプルな淡いピンクのネイル。
この日のためにネイルサロンに行って綺麗にしてもらった。
張り切ってたのはあたしだけかい!って思ってしまうのは我が儘だ。
溜息飲み込んで部屋着を持って部屋を出た。