理恵ちゃんって、なんか、オトナ。
皆みたいにお洒落することを考えたりしないで、ちゃんと報道の人が欲しがる物をちゃんと準備してきて。
あの写真、新聞に載るのかな?文章ってどんな事書いたのかな?
ちょっと楽しみだなぁ。

そこで恒例の二人の声が聞こえてきた。
学君と香織ちゃんだ。

「よぉ、香織、今日珍しく可愛いじゃん。どうよ、今日のオレも決まってんべ?」
「はぁぁ? 超ダサいんだけど?話しかけないで!知り合いと思われたくないし。」

相変わらず、香織ちゃんは学君に冷たい。

「なっ、おめーよ、ちょっとはお世辞くらい言えよ。」
「いやぁ、来ないで。マジで。あっち行って!シッシッ!」
「チクショウー。ゼッテーくっついて登校してやる。」
「きゃー、やめて、モロキモイんですけど。」
「ホントは、学君ってステキ!とか、思ってるくせに。」
「思ってないから。バカじゃね?」
「おめぇ、この背広は8万円もした高級な正装なんだぞ!」
「背広ってジジくさ。スーツって言ってよね。とにかく場違いだから恥ずかしいの。」

『香織ちゃんたち、まるで鬼ごっこだね。』
「うん。学君も懲りないね。」