「将太君、香織、香織狙ってよ。」
「え、だって。エイ！」
「もう、学君に投げてどうするよ。」
「バカ将太！これでも食らえー！」
「うわっ！」
「どうだ、オレの魔球！びびってんじゃねーよ！がははは！」
「学君のバカ力め！エイ！」
「将太君、香織、香織狙ってよー、もう。」
「だ、だって」
「だって、じゃないでしょ。勝負なんだから香織狙ってよ。学君のバカ力魔球なんてあてられたら、たまったもんじゃないっちゅうの。」
「バカ将太ぁぁ！とっとと死ねー！」
「うわわっ！」

の、残り４分、僕は覚悟を決めた。これは正攻法だと自分に言い聞かせて、香織ちゃん目掛けてボールを投げた。

「？！。」
「香織！」

確かに、ボールは香織ちゃんの方にぶつかって、鈍い音とともに弾かれた。もう、確実にやった！と思った。けど、学君の反射神経により、ボールが床に落ちる前にキャッチされ、審判はセーフを言い渡した。

「ちぇ、フェイントパート２ならずか！」と順子ちゃんが舌打ちをした。
「だ、大丈夫か？香織！」
「う、うん。平気。サンキュ、学ブー、あんたこそ、大丈夫？」
「オレは平気だ・・・！・・・？！あれ？？痛～ッ！」、
「ま、学君、ごめん、僕、どこか怪我させゃった？」
「ちょっくら、指付いちゃっただけだ。死ぬほどじゃねぇ！」
「マジ？学ブー、冷やす？棄権？？」
「馬鹿野朗！男が試合を途中で棄権するわけないだろう！時期児童会会長のオレ様を甘く見るんじゃねぇ！」
「お、おう！五班の皆、がんばるよ！」

香織ちゃんが五班のみんなの士気を高めた。
その勢いに乗って、学君の豪腕魔球に見事当てられ、卓也君が再び外野に送り込まれてしまった。

「将太、わりぃ！あと頼むな！」

これでまた、内野が２人対２人になてしまった。

残り時間２分を切った。

卓也君に当たって跳ね返ったボールを手にしたのは香織ちゃんだった。

「順子、将太君をかけて女の勝負よ！エイ！」

応援席も最高潮に盛上っていた。